正常性バイヤス
皆様は 正常性バイヤス という言葉をご存知でしょうか?
バイヤスとは「偏った先入観」、「偏見」という意味だそうで、
「正常性バイアス」とは元々は私たちが過度に何かを恐れたり、
不安にならないために(脳内で)働いているはずでしたが、
それを、何の根拠もなく、「自分だけは大丈夫」、
「今まで問題なかったから今回も何も無いだろう。」
良くない事態は「起こり得ない」「考えたくない」と考えてしまう
心理状況 を指すそうです。自分にとって都合の悪い情報を
無視したり、過小評価したりしてしまう事ですね。
実例として大規模災害で逃げ遅れた場合なども挙げられます。
生き物売買では先住犬が□□□□だったから、
飼育経験があるから、、とおっしゃる方に起こりがちです。
先住動物が居ないご家庭に初めて子犬を迎えるのと、
先住動物が居るご家庭に子犬を迎えるのでは
後者の方が比較にならないほどハイリスクなのに、
どういうわけか2頭目・3頭目を迎えるほうが 緊張感が薄い です。
正常性バイヤスゆえの事でしょうね。
生き物の売買において、この正常性バイヤスが
飼い主様の判断を誤らせてしまう事例が時折、生じます。
私達ブリーダーは長年の経験から
起きるかもしれない、という前提で、
プードル種や小型犬が等しく抱えるリスク や 育て方の注意点を
お話ししますが、
飼い主様は ウチの子に限ってそんな事は無いだろう、
ぷ~どるガーデンの子犬なら大丈夫だろう、
そんな事は起きないだろう、と考えて
全く根拠のない安心感(※) から
私達の説明や注意を 聞き流しておしまいになります。
これはトイプードルの飼育経験がある方に多く見られる傾向で、
この事(齟齬)が先々、大きなトラブルに発展する切欠になります。
※ 全く根拠のない安心感、と書きました。
2病院の院長が直々に、しかも譲渡直前に検診しているにも関わらず
「いったい どういう事か。」とお思いかも知れません。
これは、どんな名医であっても獣医は神では無いという事です。
心臓に穴が開いていた、など獣医の見落としが明らかな疾患以外
(たとえば環軸亜脱臼・門脈シャント・レッグペルテス・てんかん等々)は
どんな名医が見ても、精密検査を受けても、生後2カ月では解りません。)
生き物が等しく抱える様々なリスクをお話しているのに、
正常性バイヤスの掛かった飼い主様の耳には届かない、という事ですね。
生き物の売買は元より、病気予防や災害対策においても
私達は ともすれば無意識のうちに「正常性バイヤス」に陥りがちです。
気を付けたいところですね。
少し前に、こんな事がありました。
(飼い主様とは良好な関係が継続。トラブルには至っておりません。)
小さな鼠経ヘルニアが見つかった子犬です。脂肪が膨らんだ程度の
小さなソケイヘルニアは動物保険業界や動物医学の臨床上でも
「病気」とは認識されておらず、子犬の場合は経過観察になります。
成長と共に、筋肉が強化されれば自然治癒する可能性が高いからです。
※鼠経部・臍部以外のヘルニアおよび鼠経・臍でも嵌頓(かんとん)が
有る場合を除きます。嵌頓があれば獣医は必ず指摘します。
この飼い主様は「2病院の院長の健診を受けているので
健康状態は完ぺきに近く、何ら問題が無いはずだと思っていた。」と
おっしゃいましたが、小さな鼠経ヘルニアは特質上、体位によって
(ヘルニアが) 現れたり、消えたりします。これが「軽度」の特徴です。
「ヘルニアが絶対に無い、完ぺきな子犬を希望すれば適ったか?」
という主旨のご質問も頂きましたが、当ケネルのお答えはNOです。
当ケネルだけではなく、どのブリーダー、どこのショップに聞いても
答えはNOだと思います。
予期せぬ事態がいつ、どこで、起きるかは誰にも解りませんし、
先にも書いた通り、どんな名医でも発見できない事はあります。
お迎え後に何らかの問題が生じた場合、殆どの飼い主様は
当ケネルの誠実で嘘のない説明に納得してくださいますが、
中には「ぷ~どるガーデンを信頼していたのに裏切られた」等、
被害者意識丸出しでクレームを言って来られる方が居られます。
クレームの内容については殆どの場合、
当ケネルの動物取扱責任者がお引渡し時に
起きるかもしれない、という前提で、
プードル種や小型犬が等しく抱えるリスクとしてお話しした範疇ですが、
飼い主様は ウチの子に限ってそんな事は無いだろう、
ぷ~どるガーデンの子犬なら大丈夫だろう、
そんな事は起きないだろう、と考えて
私達の説明や注意を聞き流していらっしゃるんですね。
「言いましたよ。」と申しましても、「聞いていない、見ていない。」と。
こうなってしまうと、私達が誠心誠意お話しましても、
飼い主様から見れば繁殖者の「言い訳」に聞こえてしまうのです。
繁殖者の立場から敢えて言わせて頂くなら、「飼い主様からの
(ブリーダーへの一方的な)責任転嫁に他ならない」 のですが。
当ケネルの動物取扱者はマニュアルに従い、どなた様にも
同じ順序で子犬をお見せし、同じ手順で説明を進めてまいります。
説明手順は毎週・毎月・毎年(何十年も)変わらないので、
「その方にだけ、手順通りに説明しなかった。」とは考え難い所です。
【当ケネルの顧問獣医が発行する健康証明書について】
ペットショップ併設の動物病院に勤務する獣医達の雇い主は
ペットショップの経営者と同じですから、
ショップ側に原因が有るのに「正しい診断書」を書く事を躊躇し、
いわゆるショップに忖度した診断書を飼い主様に渡す事が有るそうです。
疑わしく思った飼い主が後日、違う病院を受診したら
全く違う病名だった、という話を時々耳にしますが、先日、
その通りの経験をなさった飼い主様から実話として聞き、驚きました。
しかし、当ケネルのかかりつけ医(2病院とも)は
当ケネルとは縁もユカリも無い、自己責任で看板をあげ、
自信と責任をもって開業している町の獣医さんです。
当ケネルに忖度した診断書を書くなど、獣医のプライドにかけても
絶対に致しません。もし頼んだら、ウチは出禁間違いなし

ですから、本当は〇〇だったのに、獣医は知っていたのに
健康証明書に記載しなかった、またはブリーダーが獣医に
事実を書かないように圧力を掛けた、という事もございません。
欠点が明らかな子犬を(飼い主様を)欺いて買って頂くほど
子犬の行き先に困っておりませんし、欠点の有る子犬はその事を
正直にお伝えし、ご理解くださる飼い主様に託しております。
きちんと伝えなければ、結局は私の愛おしい子犬が
不幸になるだけだからです。そんな事は私には出来ません。
そういう意味合い(人為面)で、当ケネルは飼い主様のご信頼を
裏切るような事は絶対に致しませんので、ご安心くださいね。
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