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ティーカッププードルの繁殖者は悪徳か。


人気犬種には批判が付き物です。
一昔前、CMで注目が集まったクリーム(白)のダックスや
少し前では「おとうさん犬」(北海道犬)にあやかって
人気を博した白い柴犬。これらの毛色は繁殖者の間では
「非常に良くない」とされ、ショーブリーダーでは交配はもちろん、
販売する事すら憚られるという認識でした。
ところが「珍しい」ともてはやされて引っ張りダコになり、
いつの間にか高値で取引されるようになった事から、
パピーミル達は(本来、淘汰されるべき個体を)喜んで繁殖するように
なりました。現在は改良も進み、白い柴犬やダックスも(さすがに
展覧会には出陳されませんが)当初のような極端に不健全な子犬は
少なくなりました。ある意味、熱心な繁殖の賜物かも知れませんが。

また、ミニチュアダックスを小さくしたようなカニンヘンダックスも
カニンヘン登録を増やしたい蓄犬団体が、ミニチュアとカニンヘンの
交配を推奨するかのような登録システムを構築した時代もありました。
(現在は廃止されています。)

これらの例から判るように、日本人は飼い犬に人と違う色やサイズを
強く求める傾向にあります。トイより小さいタイニーサイズ、
タイニーより小さいティーカップサイズ、更に小さなマイクロサイズと
人々の要求がエスカレートするから、子犬の価格がつり上がるから
金目当てで繁殖する者たちは競って極小サイズを作ろうとするのです。
極小サイズを作る繁殖者を「悪徳」のように言う人がいますが、需要が
あるから供給が成り立つわけで、不健康ななんちゃってティーカップ犬が
引きも切らずこの世に生まれてくる背景には売り手はもとより、
買い手様の責任もあるのでは?と私は考えます。新しいバラエティ
(マイクロサイズやティーカップサイズ)を作ろうとするブリーダーは
往々にして既存勢力からの反発を受けますが、白い柴犬やダックスが
正しいと言っているのではなく全てが悪ではない、現存する殆どの犬種は
人間に都合の良い様に改良に改良を重ねられて現在に至るわけですから
改良そのものを否定してしまっては何の進歩も無いんじゃないか、と
思うわけです。犬の改良スピード(期間)はものすごく速いです。
わずか3年足らずで3代祖全部を書き換えられるのですから。
このように書くと「では貴女は極小サイズを作り出すように推奨して
いるのですか?」との声が聞こえてきそうですが、そうではありません。

私が言いたいのは「金儲けのためにブームに乗って、無責任な繁殖を
するな!」と言う事です。先の柴犬を例にあげれば、健全な交配を
していても望まない個体(白い柴犬)は産まれてきます。これは仕方が
無い事です。しかし、高値で売れるという理由から「白い柴犬」を
たくさん産ませたくて白い犬同士を交配させると更に弱い個体
(目が見えなかったり、耳が聞こえなかったり)が産まれるリスクが
飛躍的に高くなります。
命を扱う私達ブリーダーは、こういうことを絶対にしてはいけないのです。

話をトイプードルに戻します。
ボディサイズの小さな犬を作り出すのは簡単です。
インブリード(近親交配)を繰り返せば良いのですから。
近親交配から生まれる個体が確実に小さくなる事はブリーダーなら
誰でも知っています。しかし、インブリード(近親交配)の弊害は
今やシロウトの方でもご存知です。

子犬の中で小さく生まれた女の子を育成して、さらに小さく生まれた
男の子と交配する。(男の子・女の子を逆転させてはいけません!)
これを繰り返すと高い確率で小さい遺伝子が固定されます。
※あくまでも理論上・経験上の話で生き物の遺伝に≪絶対≫はありません。
また、当ケネルは極小サイズにこだわった繁殖を行うものでもありません。

プードル人気に火が付き始めたころ、ブリーダー達は
「たくさんの子犬を産める大きなメス」を競って集めました。
年に2回(しか?)子犬を取れないので1回のお産でたくさん子犬を
産ませて「たくさん儲けたい」と考えるブリーダーが多かったのです。
私は大きなトイプードルの扱いが自分自身でとても大変に思えたので、
数を多く産んでくれなくても将来サイズが小さいプードルを作ろうと考え、
皆が大きいメスを奪い合う中でも小さめの子犬を残留させてきました。
当時は「こんなにプードルの子犬が高く売れる時代に、数を産まない
小さなメスばかり残すなんて、なんてバカなんだ!」と嘲笑されました。

レッドでプードルで女の子なら(どんな子犬でも)売れた時代は
すぐに終わり生産過剰により、大きくなる子犬の人気が急降下したのは
皆様もご存知の通りです。
しかしブリーダー達は数を産んでくれる大きなメス犬達を
極小遺伝子を受け継いだ小さなママわんに替えようとはしません。
理由はまずは「もったいない」からです。
大きなメス犬にたくさん産ませて、子犬達を小さく育てれば良いと
考えたからです。その結果、厳しい食事制限が課せられる事となります。
小さな子犬を産ませるために母犬の食事を制限する者もいると聞きます。
もう一つの理由は、(小さなママわんの)お産が大変だからです。
産後管理の大変さは大きなママわんの比では無く、本当に大変です。
さらに小さなママわんは母乳も少なく体力もないので育児には人間の
手助けが絶対に必要です。大きなママわんのように「放っておいても
育ててくれる」ことはあり得ません。生まれた極小赤ちゃんの育児にも
とても手が掛ります。毎日毎日24時間、神経が休まる事はありません。
ブリーダーが大きなメス犬を手放さないのは、こういう理由からです。

こういった無理なブリーディングから産まれた、いわゆるティーカップ
プードルがあまりにも多かったため、「極小サイズを作る繁殖者は悪徳、
ティーカップサイズにこだわるブリーダーはロクでもない」などの
間違った知識が(ネットを中心に)広がった、極小サイズは病気がちで、
不健全とのイメージはこのようにして構築されて行ったのだと思います。
さらに、こうして作られたなんちゃんてティーカップは大きなメス犬から
「大きくなる遺伝子」を受け継いでいますから、ティーカップと言われて
買った子犬がトイサイズにまで成長するのも極めて当たり前の話です。

結論付けます。
私は歳月をかけ、緩やかに健全に犬を改良して行く事を悪い事だとは
決して思いません。悠久の昔より世界各地でそのようにして改良を
重ねられた犬達が私達人類に大きな幸福をもたらしてくれたのだと
思うからです。しかし、本来あるべき姿から逸脱して、性急に不健全に
お金目当てで極小サイズを無理やり作り出そうとするのは、
ブリーダーとしてあるまじき行為です。

加えて、買い手様にも賢くなって頂きたいと思います。
子犬のお顔立ちやサイズにばかり目を奪われてはなりません。
そのティーカップちゃんが生を受けるまでの経緯、産まれ落ちてからの
躾けや内面(遺伝子や健全性)をしっかり見て頂きたいと思います。
そして最も重要なこれらの点はいくらHP画像を眺めていても解りません。
そのためにも繁殖者のブリーディングに対する考え方や子犬の育て方等を
時間をかけてじっくり調べてほしいな、と思います。


この記事は2016年に作成しました。


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