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高値安定が続く理由


下の2枚の画像はいずれも関東圏にある国内最大かつ最新システムの
犬猫セリ市場で落札された全犬(猫)種の上位ランキングです。
※ ショップバイヤー達は落札価格に10%の消費税と10%の手数料を
競り市開催業者に支払って生体を仕入れます。右の数字は落札価格。

  こちらは2021年10月某日に開催された
犬猫競り市場での犬猫落札価格ランキング

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  こちらは2021年8月某日に開催された
犬猫競り市場での犬猫落札価格ランキング

競り市に出荷された全猫種・全犬種およそ1500頭の中で
上位はプードルが独占しています。


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  こちらは2020年7月某日に開催された
犬猫落札価格ランキング

上段(今年)とさほど変化が有りません。

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つまり、1年経っても
生体価格は値下がりしない、高値安定している事が解ります。
ショップバイヤーさんは落札価格に加えて10%の消費税と、
10%の落札(仲介)手数料をセリ市主催業者に支払うので
たとえば
第4位 50万円で落札された子犬に実際はプラス20%(プラス10万円)
計60万円を支払って買い付ける
事になります。
店頭販売価格は買い付け価格の3〜4倍が常識ですから、
ランキングトップの子犬は200万近くで皆様にお目見えするのでしょう。

私は競り市場には出入りしたことがありませんが、
この画像は競り市場に出荷したり、仕入れたりする友人から頂きました。
※ 友人は「貴女が子犬を競りに出たら一躍、上位独占よ。」と言いますが、
競り市場でトップでもね 、、ドッグショーなら嬉しいですが。
この競り市には毎週、毎回100種類1500頭以上の犬猫が出荷されますが、
人気の高いフレンチブルドッグ、チワワなど小型犬や
スコティッシュ猫などを抑えて、トイプードルが上位を独占しています。
20年以上、ダントツ人気を誇る犬種はトイプードル以外、見当たりません。

こちらの競り市場では自宅(店舗)に居ながらにして
全国どこからでもネット上で入札(落札)できるので、
現地に赴かなくても済むそうです。それにしてもプードルは高いですね。
大手バイヤーさんが「私の子犬に60万~100万を提示する。」と
時々、子犬説明に書きますが嘘では無いとご理解頂けると思います。

ペット業界では間違いなく、
この先も、生体価格は高値安定です。
理由はコロナで在宅勤務が増えたから等々、いろいろ言われますが、
収入減の方も多いでしょうから、それだけが原因だとは思えません。
毎年、犬猫セリ市場で落札される生体価格が最安値になる夏でさえ、
今年は一向に下がらず、出荷者は大喜びだったそうです。
この先は年間最高値を更新するトップシーズンに突入するので
特に生体需要がピークに達する12月〜ゴールデンウィーク明けまでは
子犬一頭の価格が50万~200万になっても不思議はないでしょう。

このように、ペット業界における生体価格相場が
来年以降も
値上がりが続く、
値下がりしない
であろう理由
を書いてみます。
法改正に伴う価格上昇については
  コチラ。

子犬価格はプードル種に限って言えば
今から20年前のプードル人気最高潮の頃と比べても
今の方がはるかに高値です。
十数年以上前と何が違うかと言えば、
子犬の出来栄えにかなりの差が開いた、という点でしょうか?
十数年前はレッドであれば、メス犬であれば、容姿やサイズを問わず
犬猫セリ市場での落札価格がやみくもにハネ上がったと聞きます。
古くからペットショップを営んでいる友人の話では
当時は、韓国系(吊り目、骨太、ゴツくて長いマズル、ガタイの良すぎる
大きなプードル)の子犬でも、レッドのメスであれば(セリの落札価格は)
1頭30万円を下らなかったそうです。
今もセリ市場の(落札価格)上位犬種は
フレンチブルドッグやパグなどの短吻系(マズルが短い)と
トイプードルが、全国どこのセリ市会場でも常連だそうです。

ただ、プードルは落札価格の高低差が非常に大きいと聞きます。
小さくてお顔も可愛く、毛量も有るメスの子犬は40万円~80万円で
セリ落とされ、韓国系のゴツくてデカいオスは10万円台も有るとか。
つまり、容姿の差が非常に大きくなっている、
言い換えればブリーダーの力量に大きな差が生まれつつある、
という事でしょう。良い犬を作っていればそれなりに売れ、
犬舎運営に必要な経費も充分かけられる、反面、容姿が劣り、
サイズも大きく、不健全な犬しか作れない繁殖者は子犬が売れず、
売れても安く買いたたかれ、ケネル運営もままならず、
「負のスパイラル」に陥ってしまうのでしょう。

韓国系プードル
濃いレッド、細い吊り目、長くて太いマズル、大きな手の平・足の裏、
ゴツくてガッチリした骨格、成犬時10kgほどになります。
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当ケネルは丸くて大きなお目目、短いお鼻、
小さくてふわふわモッコモコのアメリカ・カナダ系です。

さて、そのような個体差による価格変動はまだしも、
最近はもっと大きな、個々のブリーダーでは対処しきれない事情により
生体価格が高騰しているのでは?と言うのが私の意見です。
つまり、動物愛護の精神が高まるあまり、昨今改正される法律は
ブリーダーへの締め付け強化 さらに言うなら
ブリーダーだけを締め付ける 傾向にあるのでは
・・・ と危惧します。
犬を捨てる(殺処分が減らない)のはブリーダーが犬を殖やすからだ、という。
これは違うと思いますね。
交通事故が減らないのは自動車メーカーが車を作るからだ、と
言っているようなもので、本末転倒、詭弁にもほどが有る。
けれども〇泉環境大臣夫人は盲目的な愛犬家ですし、
その影響下で環境大臣が「ツルの一声」を発しないとも限らない。
困りましたね。改善すべき環境問題は山積しているのに
誰にも解りやすい犬猫問題を最優先とは、一般ウケ狙いかな?
私は殺処分の現場に飼い主本人を立ち合わせるべきだと思います。
愛犬の最期を自分の目で見せるべきだと ・・・。
何ならガス注入ボタンまで押してもらってはいかがか、と考えます。
これを提案したら役人は「現実には無理だ。」とか、
「捨て犬や捨てネコが増える。」とか、いろいろ言ってましたが。

今後の法改正で予定されるブリーダーへの締め付け強化対策として
動物取扱者の選任要件変更、毎日記帳すべき項目が膨大な量になる、
販売可能な生後日数が今より後になる(49日→56日)、
繁殖年齢の制限、ひとりの人間が管理する動物の数を規制、
繁殖動物1頭につき最低限のスペースを確保、云々。


それは良いんです。
当ケネルが行っているレベルから見れば
規制強化などまだまだ序の口ですから。
でも、ブリーダーへの締め付けが強化されればされるほど、
生体(子犬・仔猫)の価格は間違いなく上がります。

ゴールデンやシェパードなどの大型犬ブリーダーが
生後56日まで(日本の狭い)犬舎で飼養可能な繁殖者が
国内にいったい、どれくらい居るでしょう?
56日まで(子犬を)持ち切れずに廃業するブリーダーが
急増するのは目に見えています。

私達は動物愛護法が改正されるたびに、ブリーダーへの締め付けが
厳しくなるたびに、子犬・仔猫の価格が急騰するのを見て来ました。

改正は来年6月~です。
その後は廃業ブリーダーが右肩上がりで増え、
生体価格も比例して高くなるでしょう。


このような理由から、
この先の生体価格相場は今より上昇する事は有っても、
生体価格が安くなることは、
まず有り得ない
と考えます。 

先日、「パピーミルからはゼッタイに子犬を買いたくない。」と仰る方がおられ、
よく話を聞いてみると「常時プードルの子犬が20頭ほどいて、好きな子犬を選べて
値段はどれでも1頭20万円だったが、そこはパピーミルか?」と聞かれて驚きました。
今のご時世、競り市場に出荷すればプードルの子犬なら(オスでもメスでも)
20万円以下でセリ落とされる事などまず有りません。
健康な子犬なら落札価格は最低でも25万を超えます。
お顔が可愛ければ男の子でも30万は下らないし、女の子なら優に40万を超えます。
なのに、直譲で20万円でイイ ・・・ というような繁殖屋の子犬には手を出しては
いけません。競り市に出荷しても20万円以下しか付かないような粗悪犬だと
思います(確信します)。目に見えない遺伝性疾患を抱えていたりします。
生き物に掘り出し物はありません。生き物は安物買いの何とやらでは済まされませんよ。


この記事は2020年6月に作成しました。2021年3月更新。


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